第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
畳の上に並んで座る。
部屋は静かで、窓から差し込む光がやけに優しい。
クラスの話、友達の話。
一つ一つが、大切な記憶になっていく気がした。
は、何気ないふりをして轟の袖をつまむ。
指先から伝わる体温。
――ああ、温かい。
轟が気づき、視線を向ける。
轟「……大丈夫か?」
「うん……あったかい」
そう言って、は轟の手を握った。
轟は息を呑み、迷うように、でも抗えずの頬に触れる。
目が合う。
距離が、自然に縮まる。
唇が、そっと重なった。
一度だけ。
確かめるような、優しいキス。
轟「……今日は」
轟が低く言う。
轟「だめだって、言わねぇのか」
は答えない。
ただ、離れなかった。
その沈黙が、すべてだった。
もう一度、唇が重なる。
今度は、少しだけ深く。
轟「……」
「っ焦凍……」
名前を呼ぶだけで、胸が痛い。
轟は、これ以上進まない。
代わりに、壊れ物を扱うみたいに、強く抱きしめた。
轟「今日は……ここまでにする。だから…朝まで一緒に居よう」
その声は、必死だった。
布団に並び、轟はを強く、離さない。
轟「……ここにいろ」
「うん……」
当たり前のように、そう言われたことが、
どうしようもなく嬉しかった。
戻るつもりだった。
ちゃんと、戻るつもりだった。
でも、離れると決めた瞬間から、こんなにも名残惜しいなんて。
もっと、ずっと、この温もりのそばにいたかった。
(ごめんね……焦凍)
胸の中でそう呟いて、は、轟の腕の中で久しぶりに安心して眠りについた。