第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
そして次の日。
ノックをしてドアを開けると、爆豪は机に向かっていた。
振り返った瞬間、目を見開く。
爆「?」
「……うん。ちょっと、会いたくなって」
その言葉に、爆豪は一瞬だけ言葉を失う。
嬉しい。
自分の元にの足で来てくれたことが。
爆「…来い」
部屋は相変わらず、整えられている。
にとっては、見慣れた空間。
爆豪はの目を見ながら聞いた。
爆「体調は?」
「……うん、まぁまぁ」
爆「嘘つけ。……目が死んでんだよ」
は何も言えず、笑っただけだった。
その沈黙を破るように、に近づく。
爆「……なぁ」
距離が、近い。
爆「なんか、最近変だぞ」
「……そう、かな?」
爆「なんつーか…」
低い声。
爆「いなくなるみたいな顔、すんな」
の胸が、ぎゅっと締め付けられる。
は、爆豪の服の袖を掴んだ。
それは、考えてのことじゃなかった。
ただ、この温もりを忘れたくなかった。
「……勝己」
名前を呼ばれた瞬間、爆豪の呼吸が、ほんの一瞬止まる。
爆「……どーした」
ぶっきらぼうな声。
でも、その奥に隠しきれない愛。
は、唇を震わせて言った。
「……抱きしめて……」
爆「……は?」
そんな言葉を、向けられたことはなかった。
次の瞬間、爆豪は迷いなくを引き寄せた。
額がぶつかるほど近く、強く。
逃がさないみたいに。
あったかい。離れたくない。
爆「…………」
は、その胸に顔を埋める。
「勝己……ごめんね」
その謝罪は、声に出した以上の意味を持っていた。
離れる覚悟をするために、最後に縋ってしまった。
勝手に、自分の中で区切りをつけようとしている。
そんな、言葉にできない全部。