第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
セントラル病院の白い廊下。
は、誰かに支えられながら、ゆっくりと歩いていた。
足取りはまだ不安定で、目には――ほんの少しだけ光が戻っている。
けれどそれは、生きている証明でしかなくて、壊れたまま、立っているだけだった。
相澤も、爆豪も、轟も、ホークスも、誰も「大丈夫か」なんて聞かなかった。
聞けば、きっと壊れると分かっていたから。
緑谷もまた、同じように静かだった。
寮に戻ってから、出ていく準備は、淡々と進められる。
なるべく気付かれないよう、不要なものは処分して、必要最低限のものだけまとめる。
は、その準備をしながら決めていた。
行く前に、どうしても会わなきゃいけない人たちがいる。
それは、別れを告げるため。
自分の中で、終わらせるためだった。
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轟の部屋を訪ねたのは、夕方だった。
ドアをノックすると、少し間があって、轟が顔を出す。
轟「……?」
扉が開き、轟が目を見開いた。
轟「?」
少し驚いた顔。
それから、ゆっくりと柔らぐ。
「少し、会いたくなって……」
その一言に、轟は一瞬言葉を失う。
相澤でもなく、爆豪でもなく、自分のところに来たという事実が、胸を強く打った。
轟「……俺も」
小さく息を吸って、
轟「俺も、会いたかった」
その声に、の胸がぎゅっと締め付けられる。