第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
緑谷が目を覚ましたのは、が再び意識を取り戻してから、少し後だった。
けれど、の瞳にはもう光がなかった。
声をかけても、視線を向けても、返ってくるのは、薄く曇った表情だけ。
泣きも、叫びも、しない。
ただ、そこに在るだけ。
相澤も、爆豪も、轟も、ホークスも。
誰一人として、どう触れればいいのかわからなかった。
抱きしめれば壊れそうで、言葉をかければ、もっと深く沈んでしまいそうで。
ただ、そばにいることしか出来なかった。
そんな中で、緑谷が決断を下した。
オールフォーワンに狙われている以上、自分がここに居続けることが、周囲を危険に晒す。
オールマイトと共に、雄英を離れる。
ホークス、ジーニスト、エンデヴァーも同行する。
それに勘づいたのは、だった。
静かに、でもはっきりと、言った。
「……わたしも、連れて行って」
全員が、息を呑む。
は俯いたまま、続けた。
オールフォーワンを生かしてきたのは、自分の個性。
自分の血。
自分の“回帰”。
責任は、確かにそこにあった。
「……出久は、きっと無理をするから。怪我したら……すぐ、治したい。それに、私にも責任がある」
それは、贖罪でもあり、祈りでもあった。
光を失った瞳で、それでも誰かを守ろうとする姿に、誰も否定の言葉を持てなかった。
この戦いは、終わっていない。
そしては、また一歩、地獄へ近づこうとしていた。
それでも、誰かを救うことをは選んだ。