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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※


そして――緑谷。

何度、呼んでも。
何度、触れても。

目は開かない。

の視界が、暗くなる。

先に、エンデヴァーに声をかけようとしたその瞬間。
の膝が折れた。

――限界だった。

倒れ込む身体を、誰かが支えたかどうかもわからない。

ジーニスト、相澤、爆豪、轟、飯田が、一斉にの名を叫ぶ。

だが、の目は固く閉じられたまま。
返事はない。

暫くして、ようやく救急隊が到着した。

戦場は、もう音を失っていた。
呻き声も、怒号も、何もない。

ヒーローたちは次々と担架に乗せられ、全員がセントラル病院へと運ばれていく。

――国で一番の最先端医療を誇る病院。
それでも、“全員完治”には程遠い。

は、到着と同時に処置室へ直行だった。

衣服を切られ、全身にチューブと管が繋がれていく。

点滴、人工呼吸器、心電図。
血圧は安定しない。
脈は細く、危うい。

医師の声が、重なる。

「臓器が限界です」
「生命活動、いつ止まってもおかしくない」

“治癒の個性を持つヒーロー”ではない。
今、そこにいるのは壊れかけた1人の人間だった。

ガラス越しに、その姿を見た爆豪が、歯を食いしばる。

爆「……人ばっか治して……」

声が震えた。

爆「……もっと……自分、大切にしろや……バカがよ……」

目に溜まった涙が、零れそうになる。

相澤も、轟も、言葉を失っていた。
喉が、詰まる。

相澤は特にが、今回どれほどの“地獄”を通ってきたかを知っている。

の血が使われていたこと。
どんな想いで戦場に立ち続けていたか。

守れなかった、止められなかった。

その事実が胸を抉る。
轟も、黙って拳を握る。

その後、ホークスもセントラル病院へ運ばれてきた。

同じ夜。

死柄木の中のオールフォーワンは、逃げたその足でタルタロスを襲撃する。
収監されていた脱獄者は、全員解放。

――世界は、さらに悪夢へと落ちていった。

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