第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
殻「人間というのは、実に面白い」
殻木はゆっくりと口角を上げる。
殻「愛せば愛するほど、守りたいものが増えれば増えるほど、苦しみ、迷い、歪んでいく」
肩を竦め、愉快そうに笑った。
殻「その様子を眺める時間は、退屈せんかった…。実に良い余興じゃった」
マイクの足が、ぴたりと止まる。
マ「……お前」
低く、押し殺した声。
マ「それが面白ぇのか。…人が苦しむ姿が」
殻木は表情一つ変えない。
殻「もちろんじゃ。ワインと同じじゃ。踏みにじって絞り出す。その味を楽しみたいだけじゃよ」
静かな沈黙。
その空気を切り裂くように、マイクは殻木を真っ直ぐ見据えた。
マ「勘違いすんな。俺だけじゃねぇ。を好きになった奴は、みんな本気だ」
マイクは目を逸らさない。
マ「半端な覚悟で、好きになっていい奴じゃねぇんだよ。個性がどうとか、抱いたとか、そんなもんが理由で、人を好きになるほど、俺たちだって薄っぺらくねぇ」
殻木へさらに近づいて睨みつける。
マ「惚れたのは、何度傷ついても、人を守ろうとする強さ。誰かのために泣ける、その優しさ。自分が壊れそうになっても、誰かを救おうとする生き方。……それがだ。だから、俺たちはあいつを好きなんだよ」
殻木は黙って聞いている。
マ「お前は、人の心を見世物にした。苦しむ姿を眺めて、笑ってた。でもな、俺たちは、お前の余興じゃねぇ」
ぐっと殻木を抱え直す。
マ「お前が見たかった結末には、絶対ならねぇ」
殻木は、わずかに目を細めた。
殻「ほう……。ならば、最後まで見届けよう。わしの余興となるか。…それとも、お前達がわしを退屈させるか」
歩き出しながら、小さく呟く。
マ「あぁ……見とけ」
その一言には、を想う、全員の覚悟が込められていた。