第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
マイクは、殻木の襟元を掴むようにして引きずり、担ぎ上げていた。
拘束されているはずの老人は、痛みも恐怖も感じていないかのように、口だけは軽やかだった。
殻「……君も、のことを“愛して”おるのか?」
マ「……っ」
一瞬、喉が詰まる。
殻木はそれを見逃さず、くつくつと喉を鳴らした。
殻「はは……そうじゃろうのう。不思議じゃろう?なぜ、あれほどまでに人を惹きつけるのか」
マ「黙れ。お前がを語るな」
殻「容姿だけではあるまい…。優しさか、献身か……」
マイクの手に、力が入る。
殻「感謝してほしいくらいじゃ…。君だって……を抱いたのじゃろう?」
マ「黙れ」
低く、押し殺した声。
殻木は、それすら愉快そうに受け取った。
殻「安心せい、わしは責めておらん。むしろ、礼を言いたいくらいじゃ。…君たちのおかげで、の個性は、確実に“伸びておる”」
マイクは必死に感情を抑える。
殻「……連合が誘拐し、わしの薬を投与してからの血液を調べるとじゃな」
殻木は、懐かしむように目を細める。
殻「誘拐以降、力は――爆発的に伸びとる」
マイクの奥歯が、ぎり、と鳴った。
殻「つまりじゃ。わかるか?」
殻木は、わざと間を置く。
殻「それだけ、何回も、」
――ぷつ。
マ「黙れ」
何かが、マイクの中で切れかける。
殻「……俺が守る、そばに居る、頼れ。そう言われる度、愛は深くなり、力は増す。人は弱い。救われたい生き物じゃ…。それが一人で終わらねば、どうなる?ちょっとした嫉妬心が、独占欲になり、やがて支配欲へと変わる――実に自然な流れじゃろう?」
マイクの指が震える。
殴りたい。
今すぐ、頭が潰れるまで。