第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
――その時。
爆発音、炎、鋼が砕ける音。
エンデヴァーたちが脳無の群れへと突っ込んでいく。
だが、の世界だけがふっと、静かになった。
(…守られる側でいる場合じゃない…。私が――)
胸の奥で、何かが、確かに“噛み合う”。
恐怖。
後悔。
罪悪感。
それらが、ひとつの意志へと収束していく。
(……私のせいなら、私が、終わらせる)
ゆっくりとは立ち上がった。
その瞬間。
――空気が、変わった。
それまで揺れていた視線は、真っ直ぐに。
震えていた指先は、ぴたりと止まる。
さっきまで迷いと痛みを映していたその目に、今は、覚悟だけが宿っていた。
感情が消えたわけじゃない。
押し殺したわけでもない。
全部を引き受けた目。
相「!?」
相澤が、即座に気づく。
いつもよりも、“嫌な予感”が、はっきりとした形を持って胸を叩いた。
相「無理するな!戻れ!!」
だが、は振り返らない。
その背中が、はっきりと、今までと違うと、誰の目にも分かった。
マ「……おい、あれ……」
マイクが、息を呑む。
エンデヴァーも、一瞬だけ動きを止めた。
の周囲に、説明のつかない“圧”が生まれている。
派手な光も、炎もない。
それなのに、近づく脳無たちが一瞬、動きを鈍らせた。
「……大丈夫です」
声は、静かだった。
けれど、揺れはない。
「これは……私の責任だから」
相「……ッ」
相澤は、言葉を失う。
止めるべきだと分かっている。
だが同時に、止められないと本能が告げていた。
は、前へ出る。
一体目の脳無が、吠え、跳躍する。
その瞬間、は迷いなく踏み込んだ。
“戻す”ためじゃない。
――壊すために。
再生が、起こる前に。
脳無の身体が、形を保てず、崩れ落ちていく。
一体、二体、三体。
は、止まらない。