第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
殻「“あのお方”も、同じじゃ」
その名は出さない。
だが、背後に立つ存在を、全員が悟った。
殻「お前の血がなければ、あのお方も、ワシも、とっくに朽ちておったかもしれん」
殻「長い時間を生き、計画を進められたのは、すべてのおかげじゃ」
にやり、と。
殻木の笑みが、最悪の形で、完成する。
殻「なぜ“回帰”などと教えなかったか、分かるか?」
返事を待つ気など、最初からない。
殼「理由は二つじゃ。一つ、疑わせないため。疑いは力を鈍らせるからの。そしてもう一つ」
殻木は笑う。
殼「人を救わせるためじゃ。救われた人間は、お前を慕う。慕われれば愛される。愛されれば、お前の回帰は強くなる。……最初から、そのための”快気”じゃった」
言い終えた後、殻木は一度、息をつく。
――まるで、説明を終えた医者のように。
殻「回帰はな、孤独では発動せん」
その言葉に、相澤の眉が僅かに動く。
殻「人との繋がり、想い、執着――。そういう“縁”が強いほど、力は増す」
その場の誰も、言葉を挟めない。
殻「だから、お前の身体には“欲”を植えた。…求めるように。縋るように。愛を欲するように。多くに愛されれば愛されるほど……回帰は、強くなる」
殻木は嬉しそうに、こう言った。
殻「実に、合理的じゃろう?」
殻木は、満足そうに肩を竦めた。
殼「まぁ、結局は発作を抑える薬を作ることになったがの。こちらを疑われては困る。信用を失う方が、よほど損じゃ」
相「……最初から全部、お前らの掌の上だったってことかよ。………ふざけんな」
その視線が、ゆっくりと巡る。
相澤、マイク。
そして、最後に――エンデヴァー。
殻「……お前たちも、薄々は気づいておったじゃろう?」
相「……何を言っている」
低い声。
殻「の周りには、いつも人がおった。守ると言いながら、近づく者。心配すると言いながら、触れる者。支えると言いながら、手放さない者」
殻木は、わざとらしく肩をすくめる。
殻「それを全部……“善意”の一言で、片づけておったのか?」