第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
まさか。
人助けのためだと信じていた行為が。
自分の血が。
脳無という化け物を生み出す“糧”だったなんて。
知らなかった。
知らなかった、では——
済まされない。
何年にも渡って。
知らぬまま、オールフォーワンの手を、敵の夢を、支えていた。
その事実が、の心を、容赦なく壊していく。
相「……待て」
低く、鋭い声が、その場の空気を切った。
相「の個性は“快気”だ。傷を治す力だろ」
相澤の視線が、殻木を射抜く。
相「“超再生”は治癒じゃない。失われたものを、元の状態に戻す力だ」
一拍。
殻木は、しわがれた喉を鳴らして――笑った。
殻「……ほう。さすがじゃのう。その通りじゃ」
その笑みが、答えだった。
殻「の個性は“快気”などという、生温いものではない。壊れる前の状態へ、時間を、巻き戻す力。それが、本質じゃ」
殻木の視線がに突き刺ささる。
殻「お前の本当の個性は」
息を飲んだ。
殻「“回帰”じゃよ、」
言葉が、落ちた。
音もなく、だが確実に、空気が止まる。
の胸が、ひくりと跳ねる。
(……回帰……)
それは、治す力じゃない。
――戻す力。
殻「ハイエンド脳無の“超再生”。あれはすべて、お前の力を基にしておる。何度壊れても、何度でも“元に戻す”。治療ではない。むしろ再生ですらない。"回帰"じゃ」
の呼吸が、乱れる。
「……っ、は……」
殻「そしてな」
殻木は、さらに一歩、踏み込んだ。
殻「それは脳無だけではない」
相「……何?」
殻「長生きの秘訣…と言ったかの」
殻木が塚内を見据える。
嫌な予感が全身を襲う。
殻「ワシ自身も、じゃ。老い、衰え、壊れていく身体を――何度も、何度も、元に戻してきた」
マ「……は……?」
殻「延命じゃよ。そして――」
もう聞きたくない。
最低最悪の事実ばかりが明らかになる。