第54章 暴かれる真実、踏み潰される祈り
相澤の視線が、殻木を捉える。
——個性、発動。
瞬間、殻木の身体から力が抜けた。
背が縮み、背骨が折れたように曲がる。
ただの、年老いた医者の姿に戻る。
エ「……個性か」
塚「その個性が、AFOの長生きの秘訣か?」
塚内は続ける。
塚「黒い脳無にのみ搭載されていた超再生、決してありふれた個性じゃない。それを複製したのか、あるいは人造したのか…」
這いつくばって逃げる殻木をマイクが掴む。
マ「すげーじゃん…。そういうのよォ、再生医療とかよぉ、そっち方面で使えばハイパーチートなんじゃねェの?…なんでこんな使い方だよ?」
低い声で殻木の胸ぐらを掴みあげた。
そしてマイクの肩越しにを見つけ、笑った。
殻「……久しぶりじゃのう」
その声を聞いた瞬間、の肩が、びくりと跳ねた。
殻「こうしてちゃんと会うのは……何年ぶりじゃ?」
震えが、止まらない。
殻「大きくなったのう…」
ゆっくりと、懐かしむように。
殻「……よく、ここまで育ってくれた」
相「……何を言っている」
即座に遮る、低い声。
マ「どういうことだァ?あ?」
エ「との関係を言え。今すぐだ」
殻木は、咳き込むように笑った。
殻「関係、か。はな……ワシらの“夢”には、必要不可欠な存在じゃよ」
相「……は?」
マ「何、言って……」
殻「幼い頃からじゃ。ずっと、に支えられて、ここまで来た」
相澤の奥歯が、強く噛み締められる。
相「……ふざけるな」
殻「ふざけてなどおらん」
殻木は、ゆっくりとを見る。
殻「いつも、ありがとうの」
——ニヤリ。
人の心を踏み潰す笑み。
殻「あれがなけりゃ、ハイエンド脳無は、完成せなんだ」
の胸が、強く締め付けられる。
「……っ、は……ぁ……」
空気が、足りない。
殻「ハイエンド脳無の“超再生”。……あれはな」
その瞬間、の世界から、音が抜け落ちた。
殻「の個性由来じゃ」
理解が、追いつかない。
ただ胸の奥だけが、痛いほど鳴っていた。
の足から、力が抜けた。
崩れる身体を、床が受け止める。