第53章 特別な日、愛される幸せ
2人が寮へ戻ると、相澤は一瞬だけ視線を向けた。
並んで歩く2人。
どこか柔らかく、ほんのり熱を帯びた空気。
その空気だけで、何があったのかはなんとなく察してしまう。
胸の奥が少しだけ痛んだ。
それでも何も言わない。
何事もなかったかのように、生徒たちとの会話へ戻った。
やがて誕生日会はお開きになる。
「今日は本当にありがとう!」
アルバムをやリュックを胸に抱き、視線を落とす。
「プレゼントも全部、大切に使うね!」
その笑顔に、生徒たちも満足そうに笑った。
こうして、賑やかな夜は幕を閉じた。
生徒寮を出ると、は相澤とブラドと並んで教師寮へ向かう。
ブ「よかったな、」
「はい!」
思わず笑みがこぼれる。
「本当に……こんなに幸せでいいのかなって、不安になるくらいでした」
ブラドは優しく笑った。
ブ「今日のあれは、お前が積み重ねてきたもんだ。あいつらに毎日向き合って、ちゃんと一人ひとりを見てきた。その答えが今日だったんだよ」
その言葉が胸に沁みる。
「……ありがとうございます」
ブラドは照れくさそうに頭を掻いた。
ブ「あ、そうだ。職員室に忘れ物取りに行かなきゃだった。悪い、俺は戻るわ」
そう言うと、大きな手がぽん、との頭へ乗る。
相澤とは違う。
でも、安心できる温かさだった。
ブ「また明日な」
「はい!また明日です!」
ブラドは職員室の方へ歩いて行った。