第53章 特別な日、愛される幸せ
寮へ戻ると、は大事そうにタンブラーを鞄へしまった。
その様子を、爆豪は静かに見つめていた。
目が合う。
爆「……来い」
ぶっきらぼうにそう言って歩き出す。
は小さく笑って、その背中を追いかけた。
向かった先は、さっき轟と話をした場所。
夜風が静かに吹き抜ける。
少しの沈黙の後、爆豪はポケットから小さな箱を取り出した。
赤いリボンが結ばれている。
爆「……これ」
「……もう十分なくらい貰ったのに…」
爆「俺が渡してぇから渡す。余計なこと考えんな」
「……ありがとう」
両手で大切そうに受け取る。
「開けてもいい?」
爆「あぁ」
リボンをほどき、ゆっくりと箱を開ける。
中に入っていたのは、腕時計だった。
シンプルなデザイン。
仕事でもヒーロー活動でも使いやすそうな、有名な国内ブランドのもの。
軽くて実用性も高く、とても人気なものだった。
「わぁ……」
思わず笑みがこぼれる。
「かわいい……」
爆「現場でも、仕事でも使える。それに、時間忘れて残業ばっかすんな、ちゃんと定時で終われ」
その言葉はどこまでも優しかった。
思わず頬が緩む。
「ありがとう。すごく嬉しい。毎日つけるね」
そう言って腕時計を手に取る。