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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


相「……明日は朝イチで授業だ」

「……覚えてます」

相「……無理するなよ」

その一言だけ、少し低くなった。

は、ドアノブに手をかけたまま、一瞬だけ立ち止まる。

「……心配、かけてすみません」

相澤は、すぐには答えなかった。

数秒の沈黙。
そして、短く。

相「…心配、かけさせすぎだ」

でも、その言い方はとても優しかった。
は、わずかに笑った。

「……ありがとうございます、消太さん」

ドアが閉まる。

カチリ、と鍵の音。

相澤は、しばらくその扉を見つめていた。

相(……何もなかった、はずがない)

知りたい。
抱き寄せたい。
今すぐ確かめたい。

それでも――

相(…言いたくないなら、無理に聞かない)

それが、今できる最善だと知っている。

相澤は踵を返し、廊下の暗がりへ溶けるように消えた。

が部屋に戻ると、静寂が一気に押し寄せてきた。

ベッドに腰を下ろした瞬間、身体の奥が、ひくりと震える。

(……大丈夫)

そう思ったのに。

瞼を閉じた途端、思い出したくなかった温度が蘇る。

低い声。
耳元で囁かれた言葉。
乱暴じゃなかった、その触れ方。

(……なんで、あんな……)

優しかった。

それが、いちばん怖かった。

ふと、脳裏に浮かぶあの青い目。

胸の奥がざわつく。

自分が、燈矢を“ずっと好きだった”こと。
それを聞いた時の、あの一瞬の目を見開いた顔。

心臓が、きゅっと締め付けられる。

(でも……燈矢くんは……)

もう、いない。
そう聞かされて、そう信じてきた。

(だから、違う……)

違うはずなのに。

――荼「時が来れば言う」

その言葉が、何度も反芻される。

(……私、どうすれば……)

相澤、爆豪、轟、ホークス。

優しさばかりが浮かんで、それが逆に苦しい。

は、布団をぎゅっと握りしめた。

(……今日は、泣かない)

泣いたら、全部壊れてしまいそうだから。
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