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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


教師寮が見えてきたところで、向こうから歩いてくる影がある。

寝癖のついた黒髪。
気だるそうな目。

轟が足を止める。

轟「……相澤先生」

相澤の視線が、に移る。

一瞬だけ、状況を測るような沈黙。

相「……。ホークスと一緒にいたって聞いた」

淡々とした声。

相「……なにかあったのか?」

は、答えに詰まる。

言えない。
言葉にしたら、崩れてしまう。

「……いえ。なにも」

短く、そう言った。

相澤は、すぐに分かった。

これは、“なにもなかった”顔じゃない。
でも、“言いたくない”顔だ。

相澤は、それ以上聞かない。

ただ、轟の方を見る。

相「……そうか。轟、もう消灯時間だ。俺が引き取る」

轟は一瞬だけ迷ってから、頷いた。

轟「……お願いします」

の肩に置いていた手を、静かに離す。

その代わりに、相澤のコートの影が、を包む。

相「……戻るぞ」

低い声。
逃げ道のない、でも安心できる声。

は、静かに頷いた。

「……はい」

2人が歩き出すのを、轟はその場で見送る。

胸の奥で、さっきの“青い目”が、また一瞬だけよぎった。

でも――今、の隣にいるのは、“守る側”の人間だ。

轟は、何も言わずに背を向けた。

相澤は教師寮の前まで行くと立ち止まり、明かりを一度だけ見上げた。
部屋の前まで行くと、優しい声が落ちてくる。

相「…今日はもう休め」

それだけ。

抱き寄せない。
肩にも触れない。

は、小さく息を吐く。

「……はい」

鍵を開ける間、相澤は背中を向けたまま動かない。

逃げないか見張るわけでもない。
ただ、そこにいる。
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