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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


飛び上がる瞬間、の体がわずかに強張った。
それに気づいてしまって、何もできない自分に、歯を食いしばる。

夜空を切りながら、二人は無言で進む。

は、ホークスの胸元に顔を埋めない。
ホークスも、抱き寄せない。

それが、暗黙のルール。

ホ(……出会わなきゃ……)

一瞬そんな考えがよぎって、すぐに否定する。

違う。
出会えたから、ここまで来た。

でも。

ホ(……それでも……俺は……)

守ると決めたのに。
触れさせたくなかった相手に。

雄英の灯りが見えてくる。

ホークスは、いつもの声で言う。

ホ「もうすぐ着きますから。……安心してください」

それが、今できる精一杯の嘘だった。

雄英高校の門が見えたところで、ホークスはゆっくりと高度を下げた。
夜の校舎は静かで、昼間の喧騒が嘘みたいに、空気が澄んでいる。

ホ「……着きました」

それだけ。
は小さく頷き、腕の中から降ろされる。

地面に足がついた瞬間、少しだけ身体が揺れて、は無意識に一歩下がった。

ホークスの手が、反射的に伸びかけて、途中で、止まる。

触れない。

触れたら、もう戻れなくなる。

「……ありがとうございました」

事務的な礼。
ヒーローに向ける、正しい言葉。

ホークスは笑う。

ホ「いえ……気をつけて」

それだけで、全部。

「ごめん」も「帰したくない」も「大好き」も、全部、飲み込んだ。

は一度だけ、振り返る。

言葉はない。

でも、ほんの一瞬だけ視線が絡んで、すぐに、外れる。
門の向こうへ、の背中が消える。

ホークスはその場に立ったまま、動けずにいた。

ホ(……行くなって、言えなかった)

言う資格も、言える立場でもない。

ただ、送り届けた。
それだけ。

ホ(……それでも……)

胸の奥で、何かが静かに崩れた。
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