• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


荼毘は、その反応を見て、くつくつと笑った。

荼「はは……そうか。まぁ、そうだよな」

立ち上がり、少し距離を取る。

荼「俺だけが覚えてりゃいい」

淡々とした声音。
それなのに、その一言だけで、共有されていた過去の重さが伝わってくる。

の背中に、冷たいものが走る。

「……私たち、会ったこと……」

荼「ある」

即答だった。

荼「――お前がまだわかってねぇだけだ」

その言い切りが、怖い。
逃げ場を塞ぐみたいな断定。

触れないまま、視線だけが絡め取る。

荼「俺が怖いか?」

は答えられない。

怖い。
確かに、怖い。

自分で来た。
危険だと分かっていた。
それでも選んだ。

それなのに――

胸の奥に浮かぶのは、赤い大きなの羽根と必死に叫ぶ声。
無言で背を支えてくれた大きな背中。
怒鳴り声と熱い眼差し。
静かな気遣いと優しさ。

――帰りたい、と思ってしまう。

その気配を、荼毘は見逃さなかった。

荼「……そんな顔すんなよ」

低く囁いて、ようやく指先が伸びる。

顎に、そっと。

力はない。
逃げようと思えば、簡単に外せる。

それでも――“逃げない”と分かっている触れ方だった。

荼「俺はな……乱暴にする気はねぇ」

親指が、顎の下をなぞる。
確かめるみたいに。

荼「昔からそうだ。お前には、ちゃんと触りてぇ」

その言葉に、の呼吸が浅くなる。

怖いのに。
拒否したいのに。

触れ方だけは――

ホークスと同じ。
相澤と同じ。
爆豪が距離を詰めたときと。
轟が静かに手を伸ばしたときと。

同じ大切にする前提の触れ方で。
/ 742ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp