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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


薄暗い室内。
窓は板で塞がれ、外の音はほとんど遮断されている。

古い家特有の、埃と湿気の匂い。

その中央に、荼毘はをそっと下ろした。

乱暴じゃない。
投げることもしない。

まるで、大切なものを扱うみたいに。

独り言のように呟き、指先での頬に触れる。
熱を確かめるように、ほんの一瞬。

荼「……相変わらずだな。寝てる時まで警戒心ゼロ」

く、と喉の奥で小さく笑う。

荼「昔からそうだった」

――“昔から”。

その言葉が、空気に引っかかる。

しばらくして、の指先が微かに動いた。
睫毛が震え、ゆっくりと目が開く。

「……っ……?」

視界が定まらない。

古い天井。
知らない匂い。

そして――青い炎の色を宿した、冷たい目。

「……荼……毘……?」

名前を呼ばれた瞬間、荼毘の表情が、ほんのわずかに緩む。

荼「よォ、」

声は低くて、落ち着いていて、誘拐した人間のものとは思えないほど穏やか。

は身体を起こそうとして、自分が逃げられない位置に寝かされていることに気づく。

「……なん、で……」

問いかける前に、荼毘がしゃがみ込む。

荼「わかんねぇよな、何も」

視線が同じ高さになる。

「どういう…意味……?」

荼「聞いたか?ホークス、触れんなって叫んでたぜ?自分のものでもないくせに、必死に」

昔を思い出すように、視線が一瞬だけ柔らぐ。

荼「……なぁ、。俺、お前に触れんなって言われる筋合い、あったと思うか?」

答えはないのに、問いかける声だけが妙に優しい。

「っ……」

荼「どう思う?なぁ。こんなに昔からずっと想ってンのに、そんな筋合いねぇよな」

の胸が、わずかにざわつく。

「……昔……?」

記憶を探る。
連合に連れ去られた時はそんなに昔でもない。
それ以外、思い当たる顔はない。

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