• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第52章 奪われた夜、青い炎 ※


拳を握る。
爪が掌に食い込むほど、強く。

ホ(……分かってる。ちゃんと……返ってくるってことも……)

任務の条件。
荼毘の私情。
どれも把握している。

それでも。

ホ(……触れられるのが……俺じゃないってだけで……こんなに……)

胸の奥が、鈍く、軋む。

ホ(……嫌だ……)

ぽつり、と。
初めて心の中で零れた、本音。

抱かれること。
触れられること。
あの手が、の肌に触れること。

全部、想像してしまう。

ホ(……俺が……守るって決めたのに……)

最後まで言えない。

ヒーローだから。
スパイだから。
感情より、結果を選んだから。

ホ(……俺が公安じゃなきゃ……俺たちは……)

そこで、言葉を切る。

もしも、を考えるのは――
一番、残酷だから。

ホ(……戻ってきたとき……どんな顔して……俺は……)

迎える資格があるのか。
触れていいのか。
笑っていいのか。

分からない。

ホ(……俺が……)

ふと、胸の奥に浮かんだ言葉に、自分で自分を殴られたみたいになる。

ホ(……俺が……好きだなんて……)

思っただけで、喉が焼ける。

ホ(……おこがましい……)

守れなかった。
触れさせたくなかった相手に、差し出した。
“選択肢がなかった”なんて、言い訳でしかない。

ホ(……こんなことしておいて……想う資格なんて……)

あるわけがない。

ホ(……抱きたいとか……一緒にいたいとか……そんなの……)

全部、奪われた側の感情じゃなく、奪った側の欲だ。

ホ(……それでも……消えない……)

思えば思うほど、汚れていく気がするのに。

ホ(……忘れろって……切り離せって……できるわけ……)

ない。

ホ(……だから……想うだけでいい……)

声にはならない誓い。

ホ(……触れない……望まない……期待しない……)

それが、自分にできる唯一の贖罪だと信じるしかなかった。
/ 742ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp