第51章 祝福の日、初めて知る幸せ
その後、ケーキも食べ終わり、みんなで後片付けを始めた。
夕方でも、外はすっかり暗くなり、窓の向こうには冬の夜空が広がっている。
上鳴がお腹をさすりながら呟いた。
上「夜ご飯食べれっかなぁ……」
瀬呂も苦笑する。
瀬「それな。俺、もう食べれる気しねぇ〜」
飯田はすかさず腕を組んだ。
飯「何を言っている!栄養は満遍なく摂取しなければならないぞ!」
上&瀬「はーい……」
気のない返事に、部屋中から笑いが漏れる。
その様子を見ていたも、思わず頬を緩めた。
「ふふ」
何気ない会話。
何気ない笑顔。
そんな時間が、とても愛おしかった。
片付けも終わり、はそろそろ帰ろうとみんなへ声を掛けようとした、その時だった。
轟「……なぁ、」
「ん?」
轟は少しだけ言葉を探すように視線を落とした。
轟「お願い、聞いてもらってもいいか」
「もちろん。どうしたの?」
轟は照れくさそうに笑う。
轟「……もう一つだけ、わがまま言ってもいいか」
は優しく頷いた。
轟「昔、よく歌ってくれた曲……もう一回、聞きてぇ」
「……!」
その言葉に目を丸くする。
轟がまだ小さい頃、好きだと言ってくれた、あの曲。
耳郎が勢いよく手を挙げた。
耳「私も聞きたい!」
尾白も頷く。
尾「俺も!」
すると、いつの間にか耳郎がギターを抱えてきていた。
耳「はい、先生」
葉隠も笑う。
葉「主役のお願いだからね♡」
気付けば、生徒たちは自然とソファへ座り、を見つめていた。
は少し照れながらギターを受け取る。
ストラップを肩へ掛け、静かに構えた。
「この曲はね」
優しく轟を見て、少しだけ微笑む。
「大切な人にはちゃんと幸せでいてほしいって、そんな願いを歌った曲」
轟の胸が、静かに熱くなる。
「今日は、焦凍のために」
轟「……っ」