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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第51章 祝福の日、初めて知る幸せ


歌が終わると、砂藤がケーキを切り分け始める。

甘い香りがふわりと広がり、みんなの表情も自然とほころんでいく。

そんな中、轟は何かを思い出したように席を立った。
すぐに紙袋を抱えて戻ってくる。

それをテーブルへそっと置いた。

葉「轟、それなにー?」

轟は袋を開けながら答える。

轟「砂藤」

砂「ん?」

轟「悪ぃ。この皿に入れてくれねぇか」

そう言って取り出したのは、から贈られた和食器だった。

落ち着いた色合いの、大きめの器。
明らかにケーキには少し大きすぎる。

芦「えー!なにそのお皿めっちゃかっこいい!」
上「いや、でもケーキにはでかくね?」

轟は器を大事そうに見つめながら、小さく笑った。

轟「あぁ」

少しだけ照れくさそうに。

轟「……でも、にもらったやつだから」

その一言だけで十分だった。

轟「これで食べたい」

「……っ」

思わず胸が熱くなる。

そんなと轟を交互に見た芦戸が、にやりと笑った。

芦「なるほど、そういうことね〜♡」

その反応に、みんなから笑いがこぼれた。
砂藤も優しく笑いながら頷く。

砂「了解!」

そう言って、轟の器へケーキをそっと乗せた。

その様子を見ながら、みんなは改めて思う。

は、生徒一人ひとりをちゃんと見ている。

朝一番に「おめでとう」を伝えて。
その人らしいプレゼントを選んで。
何気ない一言まで覚えていて。

そんなことを、まるで当たり前のようにやってのける。

だからこそ、気付けば誰もが心を惹かれてしまうのだ。

やがて全員の前へケーキが並んだ。

飯「それでは!」

飯田の声に合わせて、みんなが笑顔になる。

「「「いただきます!」」」

甘いケーキ、温かな紅茶。
楽しそうな笑い声、何気ない会話。

どれも特別ではない。
けれど、今日という日だけは、そのすべてが特別だった。

轟は一口、ケーキを口へ運ぶ。

轟(……うめぇ)

思わず目を細める。

ケーキが美味しいからなのか。
それとも、この器で食べているからなのか。

あるいは——。
みんなに祝われながら食べているからなのか。

理由は分からない。
それでも、胸の奥は不思議なくらい温かかった。
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