第51章 祝福の日、初めて知る幸せ
その様子を見ていた男子たちの間に、ほんの数秒だけ沈黙が流れた。
瀬&切&上「……」
飯「……」
峰「……」
誰も何も言わない。
言えなかった。
みんな同じことを思っていたから。
——俺がやりたかった。
ほんの一瞬早く、爆豪が動いただけ。
それだけのことだった。
やがて瀬呂が肩を竦め、小さく笑う。
瀬「……一歩、遅かったな」
上鳴も苦笑する。
上「俺も行こうと思ったのにぃ〜!」
切島は頭を掻きながら笑った。
切「あー…考えること、みんな一緒だよな」
飯田は静かにその光景を見つめていた。
飯(僕も……)
その想いは、誰にも話していない。
胸の奥にしまったままの、小さな恋心。
だからこそ、何事もなかったように眼鏡を押し上げた。
峰「あぁー!オイラがやりたかったー!」
上「おめーは無理だろ!届かねぇ!」
峰「うるせー!!!先生の肩に乗ってオイラがつけるんだよ!」
瀬「ダメだろそれ」
その反応に、男子たちから小さな笑いが漏れた。
一方、そんなやり取りにはまったく気付かず、は飾り付けを続けている。
その笑顔を見つめながら、轟は静かに息を吐いた。
轟(……俺も)
手を貸したかった。
頭の中に浮かんだその想いを、そっと胸の奥へしまい込む。
今日は、自分の誕生日だから、みんながこうして祝ってくれている。
それだけで十分幸せだった。
飾り付けも終わり、テーブルには砂藤が焼いたケーキと色とりどりのお菓子、八百万が淹れた紅茶が並べられた。
甘い香りが部屋いっぱいに広がる。