第51章 祝福の日、初めて知る幸せ
は生徒寮へ到着した。
玄関の扉を開けると、甘いケーキの香りと、紅茶の優しい香りがふわりと鼻をくすぐる。
リビングでは、生徒たちが慌ただしく飾り付けをしていた。
色とりどりの飾り。
テーブルには砂藤が焼いたケーキ。
八百万が淹れた紅茶の優しい香りが部屋いっぱいに広がっている。
その瞬間、生徒たちの視線が一斉にへ向いた。
飯「さん!」
八「お仕事、お疲れ様ですわ!」
は笑顔で手を振る。
「ありがとう!今日は焦凍のお誕生日だから、頑張って早く終わらせてきた!」
葉「やったー!先生も手伝って!」
「もちろん!」
コートを脱ぐ間もなく飾り付けの輪へ加わる。
そんなを見て、轟も立ち上がろうとした。
轟「俺も…」
葉「だーめ!」
葉隠が両手を広げる。
葉「今日は轟が主役なんだから!」
芦「そうそう!」
切「今日は座って待ってろ!」
上「全部俺らに任せとけ!」
次々と言われ、轟は少し困ったように眉を下げた。
轟「……分かった」
大人しくソファへ腰を下ろす。
何もすることがなくなり、自然と視線は一人へ向いた。
楽しそうに笑いながら飾り付けをする。
背伸びをして飾りを付けようとしている。
あと少し、届きそうで届かない。
轟が思わず立ち上がりかけた、その時だった。
爆「貸せ」
低い声。
気付けば爆豪がの後ろへ立っていた。
ひょい、と飾りを受け取る。
「あ、ごめん!」
爆「謝んな」
軽く腕を伸ばすだけで、飾りはあっという間に取り付けられた。
爆「無理して背ぇ伸ばすな」
の頭へポン、と手が乗る。
その手つきは驚くほど優しかった。
「ありがとう、勝己!」
嬉しそうに笑う。
爆豪は小さく頷くだけだった。
爆「おう」
それだけ言って、何事もなかったように持ち場へ戻っていく。