第51章 祝福の日、初めて知る幸せ
「ううん、こちらこそ。…もらった手袋、毎日使ってるよ」
少しだけ恥ずかしそうに。
「あったかくて、焦凍の手に包まれてるみたい」
その瞬間だった。
轟の身体が勝手に動いていた。
気付けば、をそっと抱き締めていた。
「っ……焦凍」
轟は目を閉じたまま、小さく呟く。
轟「…ずるい」
「え?」
轟「そんなこと言われたら…」
少しだけ腕に力が入る。
轟「これ以上好きにさせないでくれ…」
胸が大きく鳴る。
「……ご、ごめ」
轟「謝んな」
優しく遮る。
轟「そういう意味で言ったんじゃねぇ」
ふっと息を吐いて、ゆっくり身体を離した。
轟「ありがとな、」
大切そうに紙袋を抱える。
轟「一生、大事にする」
「ふふ。そこまでしなくていいよ」
思わず笑ってしまう。
目が合う。
自然と二人も笑った。
は轟の手を軽く握る。
「ほら」
そのまま教室の出口へ歩き出す。
「今日は焦凍が主役なんだから。みんな待ってるよ」
轟「あぁ」
一度だけ、その手をぎゅっと握り返す。
名残惜しそうに離したあと、今度は優しくの頭を撫でた。
轟「……行ってくる」
「うん。いってらっしゃい、また後でね」
轟はそのまま寮へ向かって歩いていく。
その背中を見送りながら、はそっと自分の胸へ手を当てた。
まだ温かい。
抱き締められた温もりが、そこに残っている。
高鳴る鼓動は、まだ少しも落ち着かない。
は小さく笑うと、ゆっくり職員室へ戻っていった。