第50章 揺らぐ静寂、寄り添う想い ※
日が沈み、校舎の影が長く伸びる頃。
タルタロスから戻った車が、静かに雄英の校門に滑り込んだ。
重い足取りの2人が門をくぐった瞬間、薄暗い照明の下で誰かが小さく手を振った。
だった。
「消太さ…ん?ひざしさん……?」
その声は、驚きよりも“何かを感じ取った”ように揺れていた。
次の瞬間。
相澤とマイクは顔を見合わせることもなく、同時にの方へ歩き出していた。
そして、まるで吸い寄せられるように、2人はを抱きしめた。
1人は震えていて。
もう1人は苦しさを押し殺していて。
2人とも限界を隠せていなかった。
寒さを忘れるほど強く。
まるで沈みそうな自分たちを、そこだけが引き留めてくれるように。
突然の重みに戸惑いながらも、はそっと腕を回す。
右手で相澤の背中を、左手でマイクの背中を。
「……大丈夫ですよ。ここにいますから」
その柔らかい一言が落ちた瞬間、張りつめていた2人の呼吸がかすかに崩れた。
相「……悪い」
マ「……ごめんな……」
声はかすれ、謝罪というより零れた弱音だった。
抱きしめていた腕が離れ、2人は深く息を吸って顔を上げる。
そのまま、無言のまま3人で校舎へ向かって歩く。
夜の静けさが、余計に胸を締めつける。
の部屋の前に着くと、相澤は言った。
相「今日はもう休め。……おつかれ、また明日」
マ「おやすみ、」
どちらも、明るく振る舞う余裕など一切なくて。
“限界のヒーローが絞り出した声”だった。
——あれは、ただの疲れなんかじゃない。
あの抱きしめ方も、あの声も。
どちらも、心のどこかが壊れそうな人のものだった。
放っておけるわけがない。
の足は、自然と相澤の部屋へ向かっていた。