第50章 揺らぐ静寂、寄り添う想い ※
冬休みが明け、新学期。
新年最初の授業は、冬休み中に得た成果や新たな課題を共有する実践報告会。
着替えを終え、グラウンドに出ると、ついさっきまで教室にいたはずの相澤の姿はなかった。
代わりにオールマイトが居て、呼び出しを受けたと聞いた。
「じゃあ、今日は私と俊典さんでやります!」
相澤不在のまま、実践報告会は進んでいった。
相澤とマイクはタルタロスへ向かっていた。
車内の沈黙の中、相澤がぽつりと漏らす。
相「USJで戦った。そんな素振り、微塵も……」
到着すると、塚内とグラントリノが重い表情で迎えた。
グ「脳無とは意思なき操り人形……のはずだった」
相「授業飛ばして来てるんです。簡潔に」
塚内は“黒霧の中に別の因子がある”と告げ、2人を面会室へ案内した。
そこに座るのは黒霧――しかしそのベースとなった因子は、かつて3人でヒーロー事務所を作ろうと誓った仲間、白雲朧のものと極めて近かった。
マ「……意味がわかんねぇよ!!!」
塚「白雲朧の執着を呼び覚まして欲しい」
相澤が個性で黒霧の個性を消し、目を覚まさせる。
だが黒霧は2人を認識しない。
黒「死柄木弔は元気ですか?」
マ「知らねェよ!!!」
相澤は“死柄木を拾おうとする黒霧”に、白雲の面影を見る。
相「……………俺が拾えないとやり過ごした子猫を、迷わず拾ってくるような奴だった」
思い出を語るたび、黒霧の脳波が揺れる。
相「白雲!まだ……お前がそこにいるなら……なろうぜ。ヒーローに……3人で!!」
必死の呼びかけに、黒霧の身体が震える。
黒「びょ…、びょう……いん……」
次の瞬間、黒霧はショートしたように沈黙し、動かなくなった。
冷たい部屋に静寂だけが落ちる。
相澤の瞳だけが、こらえきれない痛みで滲んでいた。