第50章 揺らぐ静寂、寄り添う想い ※
の部屋まで送ったあとも、相澤の足取りは重かった。
相澤は部屋に戻ると、肩から力が抜け落ちたように座り込んだ。
灯りもつけず、ただ暗い部屋の中で息を整えようとする――が、整わない。
その気配を感じるようにして、控えめなノック。
「……消太さん?」
その声で、相澤の肩がかすかに揺れた。
返事をしないうちに、ゆっくりと扉が開く。
弱い灯りだけが差し込み、暗い部屋で壁にもたれたまま座り込む相澤の姿が浮かび上がる。
その瞬間、の胸がぎゅっと痛んだ。
は音を立てないように膝を折り、相澤の隣にそっと座る。
沈黙。
でも、沈黙で分かる苦しみがあった。
相澤の呼吸が乱れているのが分かる。
息の荒さ、手の震え。
普段の相澤とはかけ離れた、痛々しい静けさ。
は、追い詰めない声で言う。
「……言いたくなかったら言わなくてもいいです。でも……誰かのことで苦しんでるのは、分かります」
その言葉は、まるで“逃げ場を与える優しさ”。
だからか――相澤は、もう隠し通せなかった。
長く息を吐き、床に落とした視線のまま、ぽつりぽつり言葉を落としていく。
相「……黒霧……覚えてるか……?USJの……あいつが……」
の指先がピクリと震える。
相澤は気づいていないように、ただ苦しげに続けた。
相「……俺と山田の……クラスメイトで……白雲っつって……な……」
その瞬間、の胸に重く鋭い衝撃が走った。
喉が詰まる。
涙ではなく、痛みで息が止まるほど。
相澤以上に泣いてはいけないと分かっていても、胸がえぐられる。
相澤は顔を覆い、肩を震わせた。
相「……あいつの……死体が……脳無に……されてた可能性が……高い……って……今日……知った……」
掠れた声。
自分を責めるような震え。
相「……あいつが…こんな形で……利用されて……」
もう、聞いていられなかった。
迷う前に、の手が動いていた。