第49章 降り積もる恋、滲む涙 ※微
倉庫を出た瞬間、外の空気がひどく冷たく感じた。
息を吸うたびに胸の奥が痛む。
ホ(……っくそ。なんで、なんでよりによって…)
歩きながら、ゆっくり拳を開く。
さっきまでポケットの中で爪が食い込んでいたせいで、手のひらがじんと赤い。
ホ(…もう、忘れなきゃな。想うのもおこがましい)
自嘲気味に笑って、空を見上げる。
街の灯りが滲んで見えたのは、風のせいか、それとも。
羽を1枚、自分の目の前へ飛ばした。
ふわりと舞ったそれを、ホークスは掴んで胸に押し当てる。
ホ(…泣いて、ないかな)
ほんの小さな予感。
気づくはずのない気配。
なのに、胸が妙にざわつく。
ホ(……俺の羽、まだ持ってくれてるかな)
自分の羽を持っていたいと言ってくれた。
それを思い出しただけで、喉の奥がひどく熱くなる。
ホ(…忘れ…られなか……)
自分で言って、自分で苦しくなる。
そして飛んだ瞬間、呼吸が引っかかった。
荼毘の声が蘇る。
-----荼「あいつばっか気持ちよくなってよ。俺”ら”は途中だったってわけ」
胸の奥が、またギリッと擦れる。
ホ(…怖かっただろうに)
知らないうちに唇を噛んでいた。
ホ(……誰にも、触れさせたくないのに)
言葉にならないその願いは、ただの独りよがりで、ただの甘えで。
だけど止められない。
風を切りながら夜空を進むほど、胸の奥が締めつけられていく。
ホ(……守るって決めたのに……どうして、俺が一番危険に晒してんだよ)
喉の奥が焼けるように痛い。
任務のことなんて、この瞬間はどうでもよかった。
ただ——
ホ(……泣いてたら、どうしよう)
想像しただけで、羽が震える。
の顔が浮かぶ。
泣きながら、あの羽を抱きしめている姿が。
ホ(……ごめん……ごめん……っ)
言葉にもならない謝罪が胸の内で崩れ落ちる。
こんなにも近くにいたいのに、誰より遠い場所にいる自分が情けなくて仕方なかった。
ホ(……どうしたら……守れる……)
夜空は広いのに、逃げ場なんてどこにもなかった。