第49章 降り積もる恋、滲む涙 ※微
は相澤に肩を支えられながら、ふらつく足取りで廊下を歩く。
手は温かいのに、触れるたび胸の奥が痛んで息が詰まる。
相「…混乱させて、悪かった」
優しい声。
その優しさすら、いまの自分には刃みたいで。
「…いえ、ありがとうございます。プレゼント、嬉しかったです。大切にします」
相澤はしばらくじっと見つめたあと、ゆっくり頷き、
相「…こちらこそ。受け取ってもらえて嬉しかった。それから…何かあったら、俺を呼べ。…どんな時間でもだ」
低く、深い声。
その“頼っていい”の一言が、逆に心を揺らす。
それだけ言い残し、名残惜しそうに振り返りながら去っていく。
扉が閉まった瞬間、張り詰めていたものが一気に崩れた。
部屋が静かすぎて、自分の呼吸の乱れがやけに大きく聞こえる。
爆豪の腕、轟の指先、相澤の声。
どれも優しくて、どれも熱くて、どれも罪みたいに胸を締めつける。
涙がじわりと視界に滲む。
「……っ、なんで……どうしたらいいの……」
自分の心が、どう動いているのかすらわからない。
爆豪の勢いと真っ直ぐさ。
轟の静かな熱。
相澤の深くて落ち着いた愛情。
全部が刺さる。
全部が大事で、全部を失いたくなくて。
だけど全部が怖い。
なのに。
机の上、そっと置かれた小さな羽。
視界に入った瞬間、胸がぐしゃっと潰れたみたいに痛んだ。
「……っ……ぁ……」
手が勝手に伸びる。
触れた瞬間、あの笑顔が、軽い声が、力強い腕が一気に蘇る。
記憶が刺さる。
刺さって抜けなくなる。
堪えきれず、羽を胸にぎゅうっと抱きしめた。
「……なんで……なんでそんな顔で、そんなふうに言うの…………」
こぼれた涙は止まらない。
頬を流れ、羽に落ちる。
爆豪も、轟も、相澤も、ちゃんと自分を求めてくれてるのに。
どうしてホークスだけ、触れられない場所にいるの。
どうして、あの笑顔の奥を自分は知らなかったんだろう。
どうして、助けにいけない距離にいるんだろう。
胸がぐちゃぐちゃになって、息ができなくなる。
「……啓、悟……会いたい、よ……」
こぼれた声は掠れて、泣き声に溶けた。
羽を抱きしめ、膝を抱えてうずくまる。
そのまま、泣き疲れるまで涙は止まらなかった。