第48章 乱れる鼓動、還る温度
バーンッ!!
黒鞭が霧散し、空気が一気に静かになった。
ブ「全員退避! 訓練中断だ!!」
その叫びと同時に、相澤が地面を蹴った。
迷いなんて一切なく、ただへ一直線。
地面に倒れたを見た瞬間、相澤の心臓がわずかに跳ねた。
相「……っ!」
膝をつき、すぐに背と頭を支えて抱き上げる。
その手つきは驚くほど優しくて、今まで保っていた“触れない距離”なんて一瞬で吹き飛んでいた。
相「聞こえるか……? 」
返事はない。
相澤の喉が小さく鳴る。
少し離れたところで緑谷が膝をついて震えていた。
緑「……っ……ちゃん……っ……ご、ごめ……ごめんなさい……!僕の……せいで……!」
拳を握りしめ、声を震わせながら必死に謝り続ける。
その肩は何度も跳ね、涙を必死にこらえていた。
だが相澤の耳には、その声すら届かない。
ただ腕の中でぐったりしているだけが、世界のすべてだった。
その時。
のまつげが、かすかに揺れる。
相「……っ……!!」
その名を絞り出すように呼ぶ。
の瞳がゆっくりと開き、ぼやけた視界が少しずつ形を取り始める。
そして最初に映ったのは、すぐそばで自分を抱きかかえる相澤の顔。
その瞳の奥に宿る、深くて激しい“想い”が胸を掴む。
夢で見た愛しい人を見つめる、あのまなざし。
「……消太、さん…?」
その声を聞いた瞬間、相澤はほんの一瞬だけ、心底ホッとしたように目を伏せた。
すぐにいつもの冷静な顔に戻るが、その表情の奥には、隠しきれない動揺があった。
相「無茶するな。……本当に、心臓が止まるかと思った」
言葉は低く淡々としているのに、声が震えている。
はぼんやりしたまま、相澤の服を指先でつまむ。
「……心配……しました?」
相澤の眉がわずかに揺れる。
相「当たり前だろ」
喉の奥の言葉が詰まった。
それがどれだけ心配したかを示していた。