第48章 乱れる鼓動、還る温度
緑谷が苦しそうに叫ぶ。
緑「、ちゃん…!離れてっ……!」
暴走しているのは一目でわかった。
昨夜もOFAが勝手に発動して眠れなかったと聞いていた。
だからこそ、離れられない。
「出久っ…、大丈夫、大丈夫だから…!落ち着いて…!」
声が震え、腕も震える。
それでも必死に抱きしめ続ける。
暴れ狂う黒鞭に振り回され、吹き飛ばされた先、そこに心操がいた。
心「みど…っ!さん!?」
は振り返り、痛みに顔を歪めながら叫ぶ。
「人使…っ!出久に“個性を”……!」
心操はマスクを下ろし、緑谷に声をかけた。
緑谷が反応し、心操の“洗脳”が発動する。
怒号のようだった黒鞭の気配が、一気に力尽きたように静まり返った。
その直後、何故かもぷつりと気を失った。
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誰かの記憶——
誰かの想いの断片が流れ込んでくる。
カッと光が走り、影がひとつ現れた。
鋭い眼光。
けれど、その瞳がを捉えた瞬間、急に柔らかくほどける。
まるで、ずっと探し続けていたものを見つけたように。
男は迷いなくの頬に手を添える。
その仕草は、深く愛した記憶を持つ者のそれだった。
耳元で、小さく息を震わせながら囁く。
『……また、会えたな』
静かで、深い、不思議な声。
胸がぎゅっと締め付けられる。
知らないはずなのに、懐かしくて苦しい。
「……誰……?どうして……私のこと……?」
問いかけても答えない。
答えの代わりに、小さく笑って、手を握る。
砂嵐が吹き、景色がノイズのように揺らぎ始める。
世界が崩れ落ちていく。
男は顔を寄せ、真っ直ぐにを見つめて言う。
『今度こそ、ちゃんと守ってもらえ。もう二度と失いたくない。だから……生きろ、愛しい人』
その言葉は恋人のようで、祈りのようで、魂から溢れる“願い”だった。
手が離れそうになり、は必死に呼びかける。
「待って……名前を……!」
世界が完全に崩れる直前。
風の音にまぎれて、確かに聞こえた。
『…また、会えるといいな』
そして光は割れ、夢は消えていった。