第46章 抑えきれない想い、残った温もり ※
少し考え込み、やがて穏やかに微笑んだ。
校「いつもの病院へ血液を送ろう。念のため検査してもらう。オールフォーワンの言葉の真意は、まだ分からないけれど、もし本当に個性へ何らかの変化が起きているなら、検査で何か見えてくるかもしれない」
は静かに頷いた。
「はい」
校「病院へはこちらから連絡しておくよ。血液だけ、いつものように準備してくれるかい?」
「はい」
軽く頭を下げ、校長室を後にする。
部屋へ戻ると、慣れた手つきで採血の準備を始めた。
この病院にしか血液は提供しない。
幼い頃から、ずっとそう決められていた。
細い針を腕へ刺す。
赤い雫が静かに採血管へ溜まっていく。
何度も繰り返してきた作業。
だからこそ、特別な感情はなかった。
採血を終え、丁寧に封をする。
その時だった。
スマートフォンが小さく震える。
画面を見て、すぐに通話へ切り替えた。
「もしもし」
校『病院には話をしておいたよ。検査の依頼も済ませた。血液が届き次第、すぐ調べてくれるそうだ』
「ありがとうございます」
通話を終え、静かな部屋へ視線を戻す。
手の中には、小さな採血管。
その赤い色をぼんやり眺める。
そして、また胸の奥が小さく脈打った。
「…また」
胸へ手を当てる。
不安。
なのに。
怖くない。
むしろ、誰かがそっと背中を支えてくれているような。
そんな、不思議な温もりだけが残っていた。
(悪い感じは……全然しない)
その時のは、まだ知る由もなかった。