第46章 抑えきれない想い、残った温もり ※
数分後、扉が開く。
校「わざわざすまないね、こっちへ」
部屋へ入ってきたのは、一人の男子生徒だった。
土埃が付き、腕や頬には擦り傷。
所々に血も滲んでいる。
「…人使?」
心「先生……?」
少し照れくさそうに笑う。
「ふふ、こんなギリギリの時間まで消太さんにしごかれたの?」
心操は慌てて首を振った。
心「ち、違います!自主練してて…」
その言葉を聞いた瞬間。
は少しだけ驚いたように目を見開き、すぐに嬉しそうに微笑んだ。
「…そっか、こんな遅くまで、頑張ってるんだね」
ゆっくりと心操の前へ歩み寄る。
その傷へ、そっと手を添えた。
淡い光が静かに溢れ、傷が少しずつ塞がっていく。
心操はその様子を見つめながら、小さく笑った。
心「…俺、頑張ります。だから…待っててください」
その真っ直ぐな瞳に、も優しく笑い返す。
「うん。人使なら、きっと立派なヒーローになれるよ。ヒーロー科で待ってるからね」
心操は少しだけ照れくさそうに笑う。
心(…そういう意味じゃないんだけど)
心の中でだけ呟いて。
その想いは胸の奥へしまい込む。
治りきった腕を見つめ、嬉しそうに握ったり開いたりする。
心「ありがとうございます。…先生って、やっぱり優しくて、あったかいですね」
「ありがとう。でも、怪我はほどほどにね?」
心「はい」
返事をし、心操は校長室を後にした。
静かになった部屋で、校長が口を開く。
校長「…どうだった?」
は自分の手を見つめる。
少し考えてから、小さく首を横に振った。
「…うーん。特別、力が強くなった感じはしませんでした。やっぱり……気のせいなんでしょうか」
校長は静かに息を吐く。
校「いや、君の勘は案外馬鹿にできない」