第46章 抑えきれない想い、残った温もり ※
着替えを済ませる。
もうすぐ消灯時間だった。
部屋を出ようとした緑谷が、ふと立ち止まる。
緑「あの…ちゃん」
振り返り、少しだけ照れくさそうに笑った。
緑「前にも言ったけど…今回のも、衝動だけじゃなくて、僕の想いもある。だから…その…、知っていて欲しい」
真剣な眼差し。
「っ…」
緑「…ありがとう、ちゃん。そして、ごめんね」
緑谷は最後まで謝りながら部屋を出ていった。
扉が閉まり、部屋には静けさが戻った。
「……」
一人になると、自然と息が漏れる。
緑谷の想い。
はっきりとは口にしていないけれど、ちゃんと伝わった。
その時、また胸の奥が脈打つ。
「……また」
胸へ手を当てる。
違和感。
痛みではない。
熱でもない。
個性が暴走しているわけでもない。
それなのに、昨日までとは何かが違う。
まるで胸の奥に、小さな灯がともったような。
それが何なのかは分からない。
けれど、気のせいと片付けるにはあまりにもはっきりと感じてしまう。
「…校長先生のとこ、行かなきゃ」
独り言のように呟く。
もし何か変化が起きているのなら、自分一人で抱え込むわけにはいかない。
上着を羽織り、部屋を出る。
廊下を歩きながらも、胸の違和感は消えなかった。
むしろ、歩くたびにそこに”何か”があるような、不思議な感覚だけが静かに残り続けていた。