第46章 抑えきれない想い、残った温もり ※
暫くして、はゆっくりと瞼を開く。
ぼんやりと天井を見つめる。
まだ夢の続きを見ているような、不思議な感覚。
身体は少し重い。
けれど、それ以上に胸の奥が温かかった。
「…あれ」
小さく呟いて、そっと視線を横へ向ける。
そこには、静かな寝息を立てる緑谷がいた。
穏やかな表情。
昨夜の顔が嘘みたいに、安心しきった寝顔だった。
は思わず小さく笑う。
「初めて見たな…」
小さい頃から知っている。
真面目で、一生懸命で、誰よりも人を想う少年。
そんな緑谷の、こんなにも無防備な表情を見るのは初めてだった。
昨夜のことを思い出す。
いつもの緑谷とは違った眼差し。
切羽詰まったような声。
必死に何かを堪えていた姿。
そして、自分を見つめる、あまりにも真っ直ぐな想い。
「…出久」
自然と名前が零れる。
その時、胸の奥が小さく脈打った。
は胸へ手を当てる。
「……?」
痛みではない。
苦しくもない。
けれど、何かが違う。
個性が強くなったような。
違う。
そんな単純なものじゃない。
何かが、胸の奥に静かに寄り添っているような。
説明のつかない、不思議な感覚だった。