第46章 抑えきれない想い、残った温もり ※
緑谷は早足での元へと向かっていた。
いや、向かうというより引き寄せられていた。
胸の奥で鳴り続ける鼓動。
会いたい。
ただそれだけが頭を埋め尽くしていた。
気付けば、目の前にはの部屋があった。
緑谷は息を飲む。
今ならまだ戻れる、そう思った。
思ったのに。
指先は勝手に扉を叩いていた。
しばらくして、部屋の向こうから足音が聞こえる。
緑谷の心臓が跳ねた。
そして、ガチャと扉が開く。
「あれ?いず──」
緑谷はその姿を見た瞬間、を強く抱きしめていた。
頭が真っ白になった。
会えた。
その事実だけで、張り詰めていた何かが切れてしまう。
ぎゅっ、と自分でも驚くほど強く。
離したくないとでも言うように。
腕に力が入る。
は目を見開いた。
けれど、すぐに思い出す。
以前交わした会話を。
だから、驚きはしたけれど怖くはなかった。
は抵抗しない。
ただ静かに緑谷を受け入れる。
緑谷の肩が震えていた。
まるで、ずっと我慢していたように。
緑「ちゃん…」
掠れた声だった。
緑「ごめん…僕…」
謝っているのに、腕は離れない。
むしろ少しだけ強くなる。
は何も言わなかった。
ただ、そっと緑谷の背中へ腕を回す。
「わかってる。大丈夫」
全てを包み込むような、優しい声。
「大丈夫だよ、出久」
その言葉に、胸の奥で何かが大きく脈打った。