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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第45章 輝く舞台、愛される存在


A組の寮を出たあと、はひとりベンチに腰を下ろし、今日の光景をゆっくり反芻していた。

石村の涙ぐんだ笑顔。
轟の静かな熱。
爆豪の真っ直ぐな抱擁。
そして、職員室のあたたかいざわめき。

全部が胸の奥でまだぽうっと灯っていて、呼吸の仕方が分からない。

そんな時。

「……こんなところにいたのか」

背後から聞こえた低い声。
振り向かなくても分かる。

黒いシルエットがゆっくり近づいてきて、横に並んだ。

彼は何も言わず、同じ景色を見ていた。
静寂が心地よく、でもどこかくすぐったい。

やがて、ぽつりと呟いた。

相「……いい文化祭だったな」

「はい。生徒たちもすごく楽しそうで……」

相「も…」

「え?」

相「今日の……まあその、衣装も……似合ってた」

普段なら絶対言わないようなことをつぶやいた後、相澤はすぐに視線を外した。
耳まで赤い気がする。

胸が、不意に跳ねた。

相澤はゆっくり息を吸って、今度はちゃんとこちらを向く。

相「来年も……その笑顔を一番近くで見たい」

夜の空気がすっと引き締まる。

「え……」

ほんの一秒の静寂。
それから、逃げ道みたいに続けられた。

相「………教師として、な」

“教師として”。
そう言ったくせに、目の奥はぜんぜん教師の距離じゃなくて。

胸がぎゅっとなる。

「……っ」

何か言おうとするけど、胸の奥がぎゅっと締めつけられて言葉にならない。

「……はい。来年も、よろしくお願いします」
相「……ああ」

風が吹く。
2人の間をすり抜けるのに、距離はまるで縮まったまま。

耐えきれず、はふっと踵を返し、

「だいぶ冷えてきましたね。戻りましょ…」

その瞬間。

パシッ、と温度のある指先が、腕を掴んだ。

強すぎず、でも絶対に離す気はないみたいな、そんな掴み方。
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