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ズルイヒト《寿嶺二》

第25章 ズルイヒト♭⑦








僕の顔を、じっと見つめる君は、泣きそうな顔をしていて。

でも、君の瞳は、やっぱり真っ直ぐ僕を写していて。





「愛梨ちゃんを知るようになって面白い子だなーって思ってたんだけど」
初めは興味本位と、ちょっとした罪悪感からで



「アイアイにも負けないぐらい研究熱心なトコ」
彼が珍しく気にしてる子だったから余計気になって



「相手に必要な言葉を選んでくれる優しいトコ」
君の暖かさに、甘えている僕がいて



「集中しすぎて周り見えなくなっちゃう所も」
その真っ直ぐな瞳と心に惹かれて



「なにより、僕に向かって笑いかけてくれる姿が」
その瞳が僕を写してることが嬉しくて



「どんどん可愛く見えて」
僕のダメな所を見透かされてるようで



「困ってた」
怖かった










眉毛をへの字に曲げる君の顔は、まるで僕の言葉の鏡みたいで、なんだかおかしくて、笑っちゃった。
思えば君は、初めから分かりやすい子だったね。




「愛梨ちゃんの気持ちを知ってから、どんどんわがまま言って、そして君は受け入れてくれた。それが、いつの間にか手放せ無くなってたんだ」




そっと、君の手を握る。
君の小指には、僕のちょっとした意思表示。





「ほんとは、ちゃんと言葉にしたら良いんだけど、もし気持ちを伝えて、万が一、違ったらどうしよう、それがきっかけで、離れたらどうしようって」




握る力が強くなる





「怖かったんだ。結婚って話を聞いて、僕じゃない、男の人に笑いかけるのを見て、僕が感じてることが、僕の思い込みかもしれない。それこそ、自己満足なだけだったかもしれない」





まっすぐ、君の目を見る。
そこに映るのは、紛れもない僕の姿で。






「ねぇ愛梨ちゃん。臆病者な僕を、助けてくれる?」







君は、瞳を逸らさない


握り返す君の手は、力強くて







「嶺二くんが、好き」






いつしか波の音は消えて







「嶺二くんが、大好きです。隣に、居させて下さい」









君の音だけが、胸に響く












僕も、君が、好きだよ










そんな言葉を、腕の中と一緒に閉じ込めた










こぼれる涙を隠す、僕の最後の悪あがき
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