第8章 変わり行くもの
やっと生まれてきてくれた我が子を抱きながら一緒に大泣きするマービンに思わず笑っちゃって、あの母様も小さく笑ってた。
でもマービンがこんなに泣き虫だったなんてちょっと知らなかった。まあ、知り合ってまだ2年ぐらいだし知らない事があっても当然だよね。時間は沢山あるんだからこれから知っていけばいい。
「俺がずっと抱いてても駄目だよな。レオナさんも、ロビンを抱いてやってください。」
「ロビン、か。いい名前だ。」
母様がロビンを抱くとあんなに泣いてたのがピタッと泣き止んでスヤスヤと眠り出した。
「やっぱり母様子育て経験があるから安心感があるのかな。」
「さあ、な。……、金髪だな。きっと、綺麗な髪の優しい人になるよ。」
ロビンを見る母様の顔がすごく優しくて、そういえば、昔こんな風に優しく笑ってくれてたことあったけど、あの時は何があったんだっけ。
あの時は確か胸辺りまで髪が……いや、母様ってずっとショートヘアだし、違うだれかだったっけ?
「可愛い、ですね。」
その声にハッと意識が戻る。マービンが手招きしたのかいつの間にかメルクちゃん達がベッドのそばまで来てた。
「そうだ、枢機卿が花束置いて帰っていったんですが、とりあえず飾」
「その花は捨てろ。アレからの祝福なんぞいらん。」
枢機卿ってたしか中央庁のお偉いさんじゃ。母様は自分は中立って言ってるから、どちらにも深入りしないって意味で上層部とはあんまり関わりたくないんだろうな。まあ、気持ちは分かるけど。