第6章 走馬灯
「ティア、良かった、目が覚めたのね」
「んぁ……なんで婦長が私の部屋に……いっ!?」
頭、痛い。支えられながら体起こして見渡すと、そこは医務室で、もしかして寝てる間に頭をどこかにぶつけてマービンに運ばれたのかな。
足元の方では母様がまた猫の姿で丸くなって眠ってて、隣のベッドにもマービンがいた。
「何があったんです?」
「…覚えてないのね。それでもいいわ。無事に目が覚めてよかった。クロス元帥がお話があるそうです。誰か彼女を談話室へ。」
「よお、ティア。」
「どうも…。」
「まあ隣座れや。」
座りたくないけど、言う事聞かないとすぐげんこつ落としてくるからなぁこの人。渋々隣に座るといきなり顔を掴まれて鼻が触れ合いそうな距離まで顔を近づけられた。
「いっ、な、なに」
「お前、クロムの能力使ったんだろ。体に異変はあるか。」
「は?クロム?なんですか、それ。」
「…クロムが記憶消したか。まあ、そういうとこあったしな…。」
「何の話をしてるんですか、説明してください。」
「お前の中に幽霊がいるって話だ。」
いきなり怖いこと言い出しやがったこいつ!
「気を付けろよティア、お前の存在を憎みお前を殺して幽霊を奪おうとする奴、幽霊ごとお前と融合しようとする奴がいる。まあレオナが危険と判断したらお前を双子の所に逃がすだろうよ。アレンも似たようなもんだが、お前も幽霊に飲まれたら、お前はお前の旦那をまた死なせることになる。精々気張れよ。」
「は………はぁ!?」
俺から話すことはもうない、とでも言わんばかりにタバコ吸い始めた。こっちは妊婦だぞおい。
出てけって意思表示なんだろうが、腹立つな本当この人は。
それからすぐクロスさんが中央庁へ連れてかれたと聞いた。へっ、ざまぁみろ。