第5章 初めての人
「いや私に聞いたところでクローゼットの中ワイシャツとズボンしかないじゃないですか。他にワンピースとかスカートは?」
「持ってない。ここに来てからは必要ないから買ってないし…。実家でも同居人が大量に服買ってきてくれてたから服選んで買ったことなくて…。」
バーバが私に似合いそうな服を見つけたら買ってくるからクローゼットに入り切らなくて可愛がるの程々にしろってマザーに怒られてたっけ。
「…分かりました。マービンさんとのデートの前に買い物に行きましょう。服とか選んであげますから。」
「俺も行くさ〜。メルとデート楽しみさ♪」
「貴方とはまだ付き合ってないしティアさんもいるんだからデートじゃないです。」
一刀両断してるようで、“まだ”付き合ってないって言ってるあたりラビと付き合うのはやぶさかでは無いんだろうな。
本人は無意識で気付いてないだろうけどラビはしっかり気付いてるから、クローゼットの中の靴を吟味してるメルクちゃんをニコニコと見つめてた。