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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第12章 秘密の日記


「今日は学校中を巡回して、みなさんのバレンタインカードを配達します!」
ロックハートの甲高い声が大広間に響き渡った。
「そしてお楽しみはまだまだこれから!スネイプ先生に『愛の妙薬』の作り方をお見せいただきましょう!」


スネイプの表情は一瞬で凍りつき、毒薬の瓶を握りしめる幻が見えるようだった。


「フリットウィック先生は『魅惑の呪文』について、この世で1番詳しい方です!」
ロックハートが続けざまに言うと、小柄なフリットウィック先生は両手で顔を覆い、机に沈み込んでしまった。



「…先生たち、本当に気の毒」
チユは同情混じりに呟いた。


ロンは頭を抱え、呻いた。
「ハーマイオニー、頼む……君、あの46人の中に入ってないよな?」
すると彼女は急に、鞄の中をガサゴソ探りだし、声を濁した。


「え、えっと…時間割…どこかしら……」


ロンはがっくり肩を落とし、チユは思わず吹き出しそうになるのをこらえた。



その日の授業は、まるで地獄絵図だった。



『薬草学』の温室では――。

「バレンタインカードです!」とロックハートの命を受けた金ぴか小人がずかずかと入り込み、チユに突進してきた。
マンドレイクの植え替え用の手袋をはめていたチユは、慌てて両手を引っ込める。


「ちょ、ちょっと待って!今は……!」


案の定、マンドレイクの鉢をひっくり返してしまい、スプラウト先生が悲鳴をあげる。



『変身術』の教室では、小人が机の間をうろついてはハープを鳴らし、カードを力ずくで渡そうとする。

「ちょっと!インク瓶蹴らないで!」
チユは必死で自分の羽ペンと羊皮紙を庇った。紙吹雪まみれになった教科書はもうぐちゃぐちゃだ。


「ポッター!ラブレターだ!」
とある小人が叫んで、ハリーの背中に飛びついた。
ハリーが必死に振りほどこうとするが、相手は短い足に似合わず力が強い。

教室中がどよめき、ロンは机を叩いて笑い転げている。



「笑ってる場合じゃないよ、ロン!ほら、こっち来る!」

チユが指差すと、別の小人が今度はロンに狙いを定めて突進。机ごと押されてロンが椅子からひっくり返った。


授業が終わるころには、教室の隅には破れた封筒やハート型の紙切れが山のように積もり、誰もがぐったりしていた。


「……これ、一日中続くの?」
チユが涙目で呟くと、ハリーも苦笑いした。
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