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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第12章 秘密の日記



午後も遅くなって、グリフィンドール生が『呪文学』教室に向かって階段を上がっているときだった。
突如、小人がハリーを目がけて突進してきた。


「オー!あなたにです!ハリー・ポッター!」


しかめっ面の小人は叫びながら、人の群れをひじで押しのけ、ついには1年生の列のど真ん前に飛び出してきた。
そこには偶然、ジニーの姿もある。


ハリーの顔が一気に真っ赤になり、必死に逃げようとした。
しかし小人は容赦なく人のすねを蹴飛ばして進み、あっという間にハリーの前に立ちふさがった。


「ハリー・ポッターに、じきじきにお送りしたい歌のメッセージがあります!」
小人はまるで脅し文句のように言い放ち、ハープをビュンビュンかき鳴らした。


チユは思わず口元を押さえた。
こんなところで歌なんか聞かされたら、ハリーは恥ずかしさで爆発してしまうに決まっている。



「ここじゃダメだって!」


ハリーが必死に言うけれど、小人はお構いなし。
ついにはハリーの鞄をがっちり掴んで引き戻した。


「放して!」


ぐいっと引っ張り合ったその瞬間――ビリビリ!と音を立てて、ハリーの鞄が真っ二つに裂けた。

教科書や羊皮紙、羽根ペンが階段中に散乱し、インク瓶まで割れて黒い染みが広がる。
チユも慌てて屈み込み、教科書を拾い集めようとした。


だが廊下は大渋滞になり、あっという間に人垣ができてしまった。


「何をしてるんだい?」


冷ややかでいやらしい声が響き、チユは顔を上げる。――ドラコ・マルフォイだ。
にやにや笑って、今にも皮肉を吐こうとしている。


そこへさらに、真面目すぎる声が割って入った。
「この騒ぎはいったい何事だ?」と、パーシー。


ハリーは必死に物を鞄に突っ込み、逃げようとしたのに――小人が膝に飛びつき、あっさり倒されてしまう。


「これでよし!」
小人はハリーのくるぶしに腰かけ、堂々と宣言した。

「あなたに、歌うバレンタインです!」


廊下中の視線が集まり、チユは思わず両手で頬を覆った。
(ど、どうしよう……!これ、絶対に忘れられないバレンタインになっちゃう…!)

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