第12章 秘密の日記
2月の初め、ハーマイオニーの猫もどき生活はようやく終わった。
ひげもなし、しっぽもなし、顔に生えた毛も消えて――いつものハーマイオニーが戻ってきた夜。
グリフィンドール塔の談話室では、暖炉の炎に照らされながら4人が輪になって座っていた。
ハリーが取り出したのは、例の日記帳だった。
彼は小声で、そこで起きたことを説明する。
「うわあ、なんだか怪しいわね」
ハーマイオニーは興味津々で手を伸ばす。日記をぱらぱらとめくり、羊皮紙に鼻先を近づけるようにして観察した。
「でも……魔力を隠してるとしても完璧に隠しきってる。相当、慎重な術がかけられてるわ」
「恥ずかしがり屋なんじゃない?」
チユが無邪気にのぞき込みながら言った。
「だって、真っ白すぎるもん。こんなの持ってる人、ぜったい秘密好きだよ」
ロンが大げさに目をむいた。
「おいおい、恥ずかしがり屋の日記ってなんだよ。だったらとっとと燃やしたほうがいいぞ」
「いや、誰がどうしてこれを捨てようとしたのか、それが知りたいんだ」
ハリーは少し身を乗り出す。
「それに――リドルがどうして『ホグワーツ特別功労賞』をもらったのかも気になるし」
「そりゃなんでもありだろ」ロンが肩をすくめる。
「O・W・Lの試験で30科目受かりましたー、とか、巨大イカに食われそうな先生を助けましたー、とか……もしかしたらマートルを死なせてしまったのかもしれないぞ。それがみんなのためになったとか……」
「……」ハリーはじっと考え込み、ハーマイオニーと目を合わせる。
互いに同じ推測に行き当たっていることを悟った様だ。
「なんだよ?」ロンがふたりの顔を交互に見て、いら立ったように言った。
「『秘密の部屋』は50年前に開けられたって話だろう?」ハリーが切り出す。
「マルフォイが言ってたな」
「そして――この日記は、50年前のものよ!」
ハーマイオニーが興奮して、手にした日記をトントンと指で叩く。
「それが?」ロンはまだ飲み込めていない。
「もう、ロン。頭を働かせてよ!」ハーマイオニーがピシャリとたしなめた。
チユは皆の反応を見回していたが――
内心ではロン同様に意味がわからず、首をかしげていた。
けれど、今さら聞き返すのも恥ずかしくて、真剣な顔で“わかってる風”を装っていた。