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空を見上げた。

第11章 9。



私にもあったのだ…人類のために力を使い命を賭けるのではなく、他愛のない日々や、大切な人が幸せになることに力を注いでいた日々が。

そして、そんな私がいたからこそ、リヴァイとの幸せな日々があったのだ。そう思いながら、私は微笑み、瞬きを数回繰り返した。

すると、目の前に広がっていた過去の光景は消え去り、現実に意識が戻っていた。そして、私は周囲を見渡すと、現在は多くの木々や草木で埋もれてしまっているが、リヴァイとの「始まりの場所」である「木」が見えた。

私はその場に佇み微笑みながら、人知れず「…おつかれ…」と呟いた。そして、その場から、先程まで感じていた体の怠さが微かに軽くなっていると感じ、ゆっくりと歩き出した。


あの後、私は古跡から離れた場所に繋いである自分の馬の元へ戻るために、無心で足早に歩いていた。

しかし、過去の光景が目に浮かび、自分が思っている以上に心に引っかかっているものがあると気づいたとき、再び体に倦怠感と息苦しさを感じ、動かしている足の重みを実感し始めていた。

私は何度も深呼吸を繰り返し、時折振り返りたい衝動を抑えた。そして、俯いてひたすら足を動かして歩いていた、その時だった…

「おい、クソメガネ…」
「っふぇ!?って…リヴァイか…びっくりしたなぁ…何してるの?駄目じゃないか安静にしてないと」

私は突如聞こえてきたリヴァイの声に驚き、間抜けな声がその場に響き渡った。

自分の馬の元へ戻れるまであと少しだと思っていたため、気が抜けて周囲に意識が向いていなかった。そのため、いつから彼がこの場にいたのかは分からないが、彼の姿にも気づかなかった。リヴァイの格好を見るとシャツにスラックス姿というラフな服装だった。

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