第13章 ハッピーバレンタイン
「えっと…
あのチョコだよね?
ちょっと待ってね…?」
どちらを渡すべきか
なんて悩むまでもなくわかってる
でも…
少しだけ悩んで
右手と左手両方に持ったチョコの内
右手の可哀想なチョコを隠して
左手に持った高級チョコを
差し出された照の手に乗せると
「…ありがとう」
そう言った照の顔が
少し曇って見える…
「ごめん…気に入らなかった…?」
なんだか気まずくて
そう言って下を向く私の顔を
照はまっすぐに見つめると
「あのさ…
違ってたらごめんね…?
でもこれじゃなくて
違うチョコあるんじゃない?」
そう言って首を傾げる…
まっすぐすぎて
全てを見透かしたみたいな照の視線から
目を逸らして
「えっと…なんで…?」
なんて右手に隠したチョコを
握りしめると
そんな私の手に
照の手が触れて
「こっちが本物の俺の
チョコでしょ笑?」
そう言って
私の手からチョコを奪いとる…
「だめ…!
それは失敗作で…
美味しくないから…」
そう言って慌てて照の手から
チョコをうばい返そうとして
見たものの
チョコは私の手をすり抜けて
包装紙を取り除かれて
不恰好なチョコが姿を表してしまう…
あまりに恥ずかしく
その場に座り込むと
そんな私の隣に座って
照は不恰好なチョコを
躊躇することなく自分の口に
放り込んだ…