第4章 恋人2日目
外から小鳥のさえずりが聞こえ、窓からは朝日が眩しく差し込んでくる。
隣からは寝息が聞こえ、長い銀髪が自分の顔にかかって…
「…!?」
リリスは閉じていた瞼をカッとひらく。何かがおかしいと思い隣を見ると、そこにはやはり、葬儀屋がいた。
自分の体は葬儀屋に抱き締められ、身動きが取りにくい。そろそろベットから出たいので、葬儀屋の体を揺すり起こそうとする。
「アンダーテイカー…僕はそろそろ起きたいんだけど」
「んん……おはよう、リリス」
葬儀屋の瞼がゆっくりと開き、リリスに挨拶を交わす。
リリスを抱き締めるのを名残惜しそうに辞めてから、むくりと体を起き上がらせた。
それに続きリリスも体を起こすと、隣から視線を感じパッと振り返る。
「…どうしたの?」
「いいや?ただ、昨晩のリリスは別人のようだったなと思ってねえ。」
「昨晩……」
リリスは昨日の出来事を思い出す。
会場を出て、ここに連れてこられて、ベッドに連れて行ってもらって、それから…
リリスの頭の中に流れたのは昨晩の艶かしい葬儀屋の姿と、自分の………
「う、うわあああぁあ」
「ヒッヒ、思い出したかい?」
リリスの顔は一瞬で茹でたこのように赤く染め上がり、またパニックになったリリスは葬儀屋に抱きつき顔をうずめる。
「パニックになると人に抱きついてしまう癖…悪くないねえ…」
葬儀屋はボソッと呟くが、それはリリスには聞こえていなかったようだ。
「顔をあげられない…」
「ヒッヒ…小生たちはもう恋人じゃないか。今でこの様子だと先が思いやられるねえ」
「うっ……」
リリスはなんとか顔を上げ、葬儀屋の方をじっと見る。
「忘れてください…」
「無理な話だねえ、あんなに可愛かったのだから」
リリスは葬儀屋をバシバシと叩き、葬儀屋はあやす様に頭を撫でる。
「さあさあ、今日は大事なお客さんが来るんだ。支度しよう」
そう言うと、葬儀屋はベッドから立ち上がりリリスに手を差し出す。リリスは葬儀屋の手を取りゆっくりと立ち上がった。
顔を洗って、朝食を食べて、歯を磨いて、髪を整えて…。場所は違えど、するべきことは毎日と変わらないため、慣れたように支度を進める。