第3章 恋人
「ちょ、ちょっとまって」
リリスはアンダーテイカーの胸やら肩やらをドンドンと叩くが、彼は一切動じない。
「なんだあ、元気じゃないか」
アンダーテイカーはリリスの胸元のリボンをするりと解く。
「いや、待って!」
「ん〜?待たないよ」
いや、待ってよ。いくらなんでも早すぎる。
リリス色々なことを考えている内に、アンダーテイカーはリリスの唇にキスした。
まだこの感覚には慣れないなと思っていると、口の中にぬるりと柔らかいものが侵入してくる。
「ん゛っ!?」
それはアンダーテイカーの舌であった。リリスの舌にねっとりと絡めてくる。腔内の至る所をなぞられ、不思議な感覚に陥る。リリスからは甘い吐息がこぼれ落ちた。
そろそろ呼吸が苦しくなってきた頃、アンダーテイカーの唇がリリスの唇から離れる。2人の唇の間には銀色の糸が引いていた。
「…可愛いねえ」
そう愛おしそうに眺める視線の先には、息が上がり頬を紅潮させ、涙ぐんだめでこちらを見つめてくるリリスの姿があった。
「怖がらなくていいさ。力を抜いて…小生に身を委ねて」
アンダーテイカーは前髪をかきあげ、リリスの頬を撫でる。
もう抵抗する気力もない。このまま身を預けるしか選択肢は無くなった。
「…優しく、して?」
リリスはアンダーテイカーの手をそっと握り、甘い声で告げた。
「…リリスは随分と煽るのが上手だねえ」
アンダーテイカーはペロリと舌舐りをすると、リリスのドレスをそっと脱がしていく。リボンの解ける音や、衣服が肌に擦れる音だけが静寂の中に響く。この時間がずっと続いて欲しいと思う一方で、もどかしくも感じる。
ドレスを脱がし追えると、アンダーテイカーはそっと床に放り投げる。リリスの方に目をやれば、少し恥ずかしそうに顔を逸らしている。
「大丈夫さ。痛くはしないよ。」
アンダーテイカーは安心させるようにリリスの頭を撫でる。
そして指でツーっと体のラインをなぞっていく。
顎から首筋に。首筋から胸元に。胸元から腹の方に…。
「おや?」
徐々に指を滑らせていくと、リリスの両脇腹にくっきりとついた手形の痣が目に入った。赤紫っぽい色をしていて、誰かによほど強く掴まれていたようだ。