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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第6章 黄金のグリフィン




「ほう…君はグリフィンドールを望むのか」帽子の低い声が続ける。「だが、君の才能が最も輝くのは間違いなくスリザリンだ。闇の魔術への深い理解、抜け目のない知恵…。あの寮なら、君は確実に大きな力を手にできるというのに…本当にそれでいいのかね?」


チユは目を閉じ、握りしめた手に汗を感じた。スリザリンの約束する未来が、まるで蜃気楼のように彼女の目の前に広がる。

名声、影響力、そして限りない可能性――。


しかし、心の奥底では既に答えは決まっていた。瞼の裏に、温かな微笑みを浮かべるリーマスの姿が浮かぶ。


「私の憧れる人は、グリフィンドールの出身なの」


チユの声は小さいながらも、揺るぎない確信に満ちていた。


「彼のような…優しくて、勇気のある魔法使いになりたいの」


栄光や権力なんて、彼女の心を惹きつけなかった。
ただ、リーマスのような、困っている人に手を差し伸べられる魔法使いになりたい――その想いだけが、彼女の全てだった。


「なるほど…」帽子の声が静かに微笑むように変わる。「よろしい、君はしっかりと勇気を備えているようだ。ならば――グリフィンドール!!」


歓声が大広間に轟く。チユが帽子を外すと、温かな拍手に包まれた。獅子の紋章が輝く赤金の旗の下、彼女の新しい寮のテーブルでは、ウィーズリー双子が立ち上がって大げさなお辞儀をしている。


「「ようこそ!我らが獅子寮の新しいプリンセス!!」」


フレッドが片手を胸に当てて劇場調で宣言すると、ジョージが続けて「これでグリフィンドールも一段と華やかになったってわけさ!」と茶目っ気たっぷりに付け加える。
チユは「プリンセス」と呼ばれた事に引っかかっていたが、この陽気な雰囲気の中では文句も言えなかった。

「おめでとう」パーシが、いつもの几帳面な態度で近づいてきた。

金色に輝く監督生バッジを誇らしげに掲げながら、珍しく柔らかな表情を見せる。
「グリフィンドールへようこそ。歓迎するよ」


チユは思わず頬が緩むのを感じた。緊張で固まっていた体から力が抜けていく。
ウィーズリー家の皆が居れば、きっとここでも安心して過ごすことができるだろうと感じた。

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