第1章 目覚め
カイトの指導のもと、私たちは生存術を学ぶ毎日を送っていた。その中で、組み手の訓練も繰り返し行われていた。
「ヒツキ、こい。」
「いくよ!」
素早く踏み込み、右拳を繰り出す。しかし——
「甘い。」
カイトは軽々と私の攻撃をかわし、逆に私の背後に回り込んだ。
——ドンッ!!
背中を軽く押され、私は前のめりに転びそうになる。どうにか体勢を立て直しながら、悔しさが込み上げてきた。
「お前は確かに素早いし、体力もある。だが、力が弱すぎる。」
カイトは腕を組み、冷静に指摘した。その一言が、胸に突き刺さるようだった。
「今のままじゃ、強敵と戦ったらすぐに倒される。」
「……!」
悔しい。全力で攻撃したつもりだったのに、カイトには全く通用しなかった。
「力が足りないなら、どうすればいいの?」
私は真剣な眼差しでカイトを見つめた。
「工夫しろ。体の使い方を意識するんだ。」
カイトは私の肩を軽く叩き、続けて言った。
「例えば、重心を低くして相手の力を利用する。もしくは、急所を的確に狙うんだ。」
「……なるほど。」
少しずつ、カイトの言っていることが理解できてきた気がした。私は頷き、もう一度構えを取る。
「もう一回!」
悔しさをバネにして、何度も何度もカイトと組み手を繰り返した。疲れを感じても、もう一歩、さらに一歩と自分を追い込んでいく。
その頃——
「パイロ、お前も準備しろ。」
カイトが声をかけると、パイロは少し緊張した面持ちで立ち上がる。
「うん……!」
パイロは少し不安そうに構えた。
「お前は耳がいい。だが、それに頼りすぎだ。」
カイトはパイロの肩を叩き、少し苦笑いを浮かべる。
「え?」
「風の微妙な歪み、空気の揺れ……そういうものも感じ取れ。」
カイトが素早くパイロの背後に回り込んだ。
「……っ!」
「音がしなかった……」
「そうだ。だが、風は微妙に動いたはずだ。」
パイロは考え込み、拳をぎゅっと握りしめる。
「目が見えない分、それを補う力をもっと研ぎ澄ませろ。」
カイトは優しく言ったが、その言葉には期待の色が混じっていた。
「……もう一回!」
私もパイロも、どこかで自分の限界を感じていた。
しかし、そんなものに甘えてはいけないと、お互いに誓うように繰り返し訓練を続けた。